店主敬白
20日(木)−24日(月)、更新をお休みします。
25日(火)にまとめて記事をアップする予定です。
Sun,16 October 2005

My name is James Bond (Daniel Craig).

やや遅きに失した感がありますが...
第6代007、ジェームス・ボンド(James Bond)がダニエル・クレイグ(Daniel Craig)に決定。14日(金)は専らこのニュースで盛り上がってました。BBCはNews速報mailで送ってくるし(笑)。「初の金髪ボンド」などと騒がれていますが、発表の仕方も、テムズ川をスピードボートでやって来ると言う演出。既に007モード
こちらでは専ら「映画'Layer Cake'のスター」と言う冠がついていますが、Mは'Road to Perdition'で、トム・ハンクス(Tom Hanks)のマフィアのボス(ポール・ニューマン(Paul Newman))の息子で、トム・ハンクスをねたんで殺そうとする敵役の印象が強い。マフィアのボスのボンボンらしさと、ちょっと狂気にかられた雰囲気が良かった。
ダニエル・クレイグは、最近、その'Layer Cake'で共演した女優シエナ・ミラー(Siena Miller)と、その元(?)恋人ジュード・ロウ(Jude Raw)との三角関係でゴシップネタに。映画'Alfie'で共演し、婚約していたジュード・ロウとシエナ・ミラーだけど、ジュード・ロウの浮気が発覚して、怒ったシエナが浮気した相手がダニエル・クレイグ。まさかシエナ・ミラーがボンド・ガールになることはないだろうけど(苦笑)。

007も冷戦が終わった今は、テロリスト相手に戦うんでしょうね。彼の第一作「カジノ・ロワイヤル(Casino Royale)」は来年2006年1月の公開予定。

このボンド役、かなりの候補者の中から最終決定に至ったとのことだけど、こちらはその候補者たち...なのかな。かなりいろんな名前があがってます。ここの「良い男たち」を眺めるのも結構良いかも(笑)。

[参考]
-Daniel Craig takes on 007 mantle (BBC NEWS| Entertainment|Filmより)
-The Battle of The Bonds (Sky News, Showbizより)
posted by M at 16:00 | Comment(2) | TrackBack(0) | 映画
Fri,14 October 2005

そして ひと粒のひかり (Maria Full of Grace)

-These pellets contain heroin. Each weighs 10 grams. Each is 4.2 cm long and 1.4 cm wide. And they're on their way to New York in the stomach of a 17-year-old girl.
-Based on 1,000 true stories.
-運命は わたしが 決めるのを 待っている

2004年の米/コロンビア映画。コロンビアの片田舎で暮らす17歳の少女マリアが、失職し、家や愛していないボーイフレンドとのごたごた(じゃあ妊娠するようなことするな、こら)にうんざりしていた時、偶然の出会いから仕事を紹介されるが、その仕事は麻薬の運び屋。お金と、そして日常から抜け出すために、運び屋になることを引く受けてしまう。渡米する彼女を待ち受けているものは...。

むぅ、私はこの映画に、「ひかり」も「希望」も見出せなかったのですが。
やや遅れて入ったMの目に飛び込んできたのは、スクリーンいっぱいに広がった、真っ青な空と、余るほどの陽光が輝いているコロンビアの風景。(これは素朴さに心が洗われる映画か)と思ったら、そうではなかった。
コロンビアでは、マフィアによる米国への麻薬の輸出が問題となっているが、その運び屋はこの映画にも描かれているように、麻薬を体内に飲み込み、まさに体で「運び屋」となっている。マフィアによるその構造は映画の中で淡々と描かれる。
危険を冒してNew Yorkに渡ったマリアの目に映る風景は、中心部の華やかなマンハッタンではなく、移民たちが集まって暮らす地区であり、彼女はそこで、コロンビア人の中で、コロンビア人の人脈を頼って生きる。彼女は米国という名のついた地上にいるだけで、米国の中には溶け込んでいない。
ここで、「一応ハッピーエンド」、「見終わると清涼感が」とあるけど、全く感じなかった。この終わり方で、彼女の将来に希望が見えるのだろうか。最初に映し出された美しいコロンビアの風景と対照的な、雑然としたNew Yorkの風景は、寂寥感しか感じさせなかった。
そしてこの映画、どうしても「米国から見たコロンビア」の視点でしか描かれてないように思われたのだけど。いや、映画としては良い映画なんだろうけど、ベルリン映画祭で銀熊賞も取っているし。でもコロンビア人の視点だったらもっと違った描き方があるのでは、と思う。
音楽は良かった。場面場面で背景に流される歌、Sheryl Crowを思わせる女性の声の主題歌とも心地よく映画を楽しませてくれました。

[参考]
公式サイト:英語 日本語

鑑賞メモ
posted by M at 05:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画
Sun,11 September 2005

9.11(セプテンバー11)

実家で机の周辺を整理していた時のこと。旅行先などで集めた大量のマッチがあった。(自分じゃ使わないから)、と台所にあるマッチを入れておく箱にどっと入れておいた。

しばらくして、母が「マッチ箱の中にこんなのが入ってたけど」と言いながら、小さな切符のようなものを持って部屋に入ってきた。

その青い小さな紙切れは、「ニュー・ヨークのワールド・トレード・センター(W.T.C.)の入場券」だった。大学4年の春、サークルの活動でN.Y.に行った際訪れたワシントン・スクエアの近くのレストランのマッチ箱に入れていたのだった。

このN.Y.滞在時、サークルの先輩と同輩と共にW.T.C.の屋上に上った。そこから見下ろすN.Y.の夜景はあまりにも綺麗で、街の活気を感じた。この活気が世界を動かしているN.Y.のエネルギーなんだと感じた。

2001年9月11日、そのW.T.C.に旅客機が激突し、やがてビルが2棟とも崩壊するのを、深夜の日本でTVを通して見ていた。

あれから4年。
あれからどれだけ多くのことが変わったかは、ここで書くまでもない。
今日も、イラクでのテロのニュースが流れている。
W.T.C.の入場券は、財布のお札入れの部分に入れてある。

9.11は、わからないことが多くて、私の中でどうとらえるべきか位置づけが決められない。
ただ、今N.Y.に行っても、あの時W.T.C.の屋上で感じた魅力は感じないだろうと思う。
でもあの滞在時、一緒に行ったサークルの女性メンバーで食事をして「またここで食事をしようね」という約束を果たせたら、とは思う。


9.11に関係する映画や本はいっぱい出ているけれど、今のところ一番印象に残っているのはこの映画。
B0000A5B3Pセプテンバー11
オムニバス ジャック・ペラン ショーン・ペン

by G-Tools

9.11をテーマにした、世界の11人の映画監督による短編(11分9秒)のオムニバス映画。それぞれの監督がそれぞれの視点で撮っている、その違いがおもしろい。9.11について正面から捕らえたものもあれば、そうでないものも。
前者では、聾者の女性がテロに気づかず、その背後でツイン・タワーに旅客機が突っ込んでいく映像が映し出され、喧嘩して出て行ったカメラマンの恋人が、テロの中が暦の埃にまみれて帰って来る話(クロード・ルルーシュ監督)の作品が秀逸。他に、ブルキナ・ファソの貧しい新聞売りの少年が、新聞に掲載されたビン・ラディンそっくりの男性を見つけて、彼のことを通報したら新聞に出ていた懸賞金を得て家を貧しさから救える、と男を追う、ちょっとコミカルな作品(イドリッサ・ウェドラオゴ監督)は、米国の事件とアフリカの距離の微妙さが感じられておもしろい。
後者では、何といっても1973年9月11日のチリのピノチェトの軍事クーデタを撮ったケン・ローチ監督の作品が素晴らしい。特に英国ではピノチェトを巡りいろいろと議論があり、9.11といえばチリも、と今日もニュースで取り上げている。

この映画の詳細は、Cmf◇シネマなシアワセ◇さんのこのページが詳しいです。
posted by M at 18:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画
Fri,26 August 2005

アラバマ物語(To kill a mockingbird)

-The most beloved Pulitzer Prize book now comes vividly alive on the screen!
-If you have read the novel, you will relive every treasured moment. . .If not, a deeply moving experience awaits you!

Rayを見て、この物語のことを思い出した。奇しくも24日(火)、この物語で犯人として糾弾される黒人を演じた俳優Brock Peters氏が亡くなったとのnews(合掌)。
B00005LMDGアラバマ物語 コレクターズエディション
グレゴリー・ペック メアリー・バーダム フィリップ・アルフォード

by G-Tools

1930年代のアラバマで、弁護士の父アティカス・フィンチと兄ジェム、通いの黒人コック(家政婦)カルパーニアと暮らす少女スカウトの目を通して、家庭、近所、学校での出来事が綴られている物語。スカウトは父の教えに従って素直に、そして偏見を持つことなく成長していく。貧困と人種差別が残る地域で、白人女性が乱暴される事件が起こり、黒人トムが犯人とされ、アティカスが弁護をすることに。地域住民−白人間、黒人間、そして相互間−に起こる様々な波紋。厳しい圧力の中、アティカスはトムの弁護に立つ。

実は映画より先に原作を読了。
0099419785To Kill a Mockingbird
Harper Lee

by G-Tools

2003年、アティカス・フィンチを演じたグレゴリ−・ペックが亡くなった際、日本では専ら「ローマの休日の」と紹介されていたけど、こちらのnewsでは「アラバマ物語の」と紹介されていたこと、また彼の死の直後、アメリカ映画協会が発表した「最も偉大な映画のヒーロー」でアティカス・フィンチが1位だったことで興味を持ち、またBBCが行っていた'Big Read'という読書キャンペーンでこの本が上位に選ばれていたこともあり、これは読んでみようと手に取ってみた。
物語の視点は少女だけど、読了後最も印象に残ったのは父親の誠実さ、真直ぐな生き方。その印象を持って映画を観たのだけど、グレゴリー・ペック演じるアティカス・フィンチは、私が原作で受けた印象そのままの父親、弁護士像。「米国の良心」とも言われ、偉大なヒーローに選ばれた映画の人物像は、原作の素晴らしさ、そしてそのイメージを忠実に演じたペックの演技の賜物だと思う。
映画ではペックばかりに注目していたので、通常この映画で賞賛されている子供たちの演技があまり記憶にないのだけど、それでも印象に残っている2つのシーンは実は子供がらみ。どうしても裁判を見たがった子供たちがこっそりと中に入り、親しくしていた黒人たちが自分たちの方へ呼び寄せてくれて、2階から黒人に混じって(白人は1階)見ているシーン、そして近所に住む「幽霊」ブーとの出会いのシーン(原作でも感動したところ)。

この本を読んだ時も、(ついこの間まで米国ってこういう国だったんだよなぁ)とショックを受けた。

英国も決して差別がないわけではない。先月29日(金)、リバプール郊外で、大学入学を控えた黒人高校生が、白人ガールフレンドとデート中に人種差別的言葉を浴びせられ、斧で殺されるというショッキングな事件があった(犯人とされる4人の中に、ManCityの選手の弟がいたことも衝撃を与えた)。昨25日(水)、彼の地元で追悼セレモニーが行われ、3,000人もの人が出席している。

[参考]Thousands pay tribute to Anthony(BBC News)

以下は私が持っているpostcardから。Martin Luther King牧師の言葉。
One day ...
Youngsters will learn words they will not understand

Children from India will ask:
What is hunger?
Children from Alabama will ask:
What is racila segregation?
Children from Hiroshima will ask:
What is the atomic bomb?
Children at school will ask:
What is war?

You will answer them.
You will tell them:

Those words are not used any more,
Like stage-coaches, galleys or slavery -

Words no longer meaningful.

That is why they have been removed from dictionaries.

Martin Luther King

[映画参考]
アラバマ物語(1962)(Allcinema ONLINE 映画データベース)
To kill a mockingbird(1962)(International Movie Database)
posted by M at 06:56 | Comment(0) | TrackBack(2) | 映画
Tue,23 August 2005

レイ(Ray)

-The extraordinary life story of Ray Charles. A man who fought harder and went farther than anyone thought possible.
-The only thing more extraordinary than the music is the man behind it: Ray Charles.
-The extraordinary life story of Ray Charles.
-レイ・チャールズ――音楽、恋、そして人生。彼は、生きること全てにおいて<天才>だった。
B0007TW7WSRay / レイ 追悼記念BOX
ジェイミー・フォックス テイラー・ハックフォード ケリー・ワシントン

by G-Tools

2004年の米映画。Ray Charlesの生涯の映画化。
最高にカッコよかった。音楽も、主演のJamie Foxxも。Jamie Foxx、Ray本人としか思えませんでしたよ。実際ピアノを弾くシーンは全てJamie Foxxだそう。点字学校にも通ったとか。私が知っているRay Charlesって、すでに白髪のお爺さんでいつも襟の幅が広いステージ衣装って印象ですが、映画は若い頃が中心。きっと若い頃はこうだったんだろうなぁと思われました。
ストーリーは、貧困家庭の盲目の青年が、天才的な音楽の才能で、恋に、ビジネスに成功していく、その背後で、旅とレコーディングに明け暮れる生活、女とドラッグ、その破綻と再生を、人生に色濃く影響した弟の死と母親との関係を織り込みながら、ってところ。
cold turkeyのシーン、凄かった。
でもこの映画を通して一番驚かされたのは、この60年ほどの米国社会の変化。
当初Rayが長距離バスに乗ってシアトルに行き、そこで音楽人生を歩みだすのですが、そのバス(Grayhound)の座席がwhiteとcolouredで仕切られてる。Rayが参加するバンドは黒人ばかり。ツアー先(ナイトクラブのようなところ)も黒人ばかり。
やがて白人が少しずつ姿を現し出し、やがて黒人、白人とも違和感なく同時に画面に現れ出す流れを見ていて、そうだよ、今でこそパウエルやライスがホワイトハウスで中核にいたり、ニュースキャスターがWASPじゃなかったりしていて、それを何の不自然さもなく見ているけど、ほんのちょっと前までそうじゃなかったんだよ、と思い出した。
その黒人ばかりの時代の映像は結構ショックでした。そしてRayが差別と戦ったことも。
Ray Charlesは人種差別があったGeorgia州でのコンサートを拒否して、同州での活動を禁止されます。これが撤廃されたのが1979年。遠いようで、実はついこの間のこと。Rayが州議会に招かれて、州知事が公の場で公式に謝罪し'Georgia on my mind'が州歌になるのですが、この時両腕で自分を抱え込むようにして喜ぶシーン、ここはRay Charles本人だそう。
また映画は、彼の人生にいかに女性が影響を与えたかにかなり力点がおかれてました。妻、愛人(12人の子供と21人の孫に5人の曾孫!)、そして母親。特に母親は、幼い頃の貧しい生活、弟の死、そのトラウマと緑内障で盲目になっていくところが頻繁に挟み込まれるフラッシュバックシーンで大きな存在感。薬物中毒からの再生のきっかけのシーンもその母親との関係を背景に描かれてたし。母親が厳しかったから(勿論愛情があったからだけど)、愛を求めて女性遍歴を重ねたのかも。
ホントかな、と思ったのは、シアトルについて直ぐ道端でトランペットを吹く黒人と出会うんだけど、それが「クインシー・ジョーンズ」。去年のNHK大河「新選組!」で近藤勇と坂本竜馬が出会ったシーンを思い出してしまった。

で、正直に告白します。
1.私はRay Charlesが盲目だと知りませんでした(ご、ごめんなさい!!物知らずで)。そんなの音楽に関係ないじゃん。そう知っても彼の音楽に対する気持ちは変わらないし。
実際ビジネスを進めていく姿勢など、正常者と全く互角。彼が盲目のように見えたのは、女性を口説く時ゆっくり両手で相手の手を握り、だんだんを腕にそって撫で上げて、hugしていくところ(このシーン、頻繁にあったなぁ。皆に同じことしてたんだろうか)。
2.映画の初めの頃の黒人ばかりのシーン、英語がわからないところがしばしば(;O;)。訛りや黒人独特の言い回しや音なんかがあるだろうけど、これほどとは。後段はわかったもん。
3.Jamie Foxxがアカデミー賞主演男優賞を取ったことも知りませんでした(恥)!!見終わって、(これでアカデミー賞取れなかったらおかしいよな)と思って帰宅して確認したら、やっぱり取ってた...。

誰もがそうだろうけど、映画を見てRay Charlesをあらためて聞きたくなりました。今まではラジオやTVで流れるのを聞いていて凄いなとは思っていたけど、しっかり腰をすえて聞いてみたい。彼の音楽はジャンル分け不可能だなと思う。ソウルであり、C&Wであり、ロックであり...全部あるんだもん。

152分とあったから、長くてだれるかなと思ったけど、あっという間でした。

[参考]
公式サイト:英語,日本語

[鑑賞メモ]
場所:London, Prince Charles Cinema
日時:2005年8月19日(金)15:15-18:00
映画データ
-Director Taylor Hackford
-Producer
Howard Baldwin, Karen Elise Baldwin, Stuart Benjamin, Taylor Hackford
-Exective Producer
William J. Immerman, Jaime Rucker King
-Co-Producer
Ray Robinson Charles Jr., and others
-Writing credits
Taylor Hackford, James L. White(story), James L. White(screenplay)
-Original Music
Craig Armstrong
-Non-Original Music
Hoagy Carmichael (song "Georgia on My Mind")
Ray Charles (songs)
Ludwig van Beethoven (from "Moonlight Sonata")
-Cinematography
Pawel Edelman
-Cast (in credits order)
Jamie Foxx Ray Charles
Kerry Washington Della Bea Robinson
Regina King Margie Hendricks
Clifton Powell Jeff Brown
Harry J. Lennix Joe Adams
Bokeem Woodbine Fathead Newman
Aunjanue Ellis Mary Ann Fisher
Sharon Warren Aretha Robinson
C.J. Sanders Young Ray Robinson
Curtis Armstrong Ahmet Ertegun
Richard Schiff Jerry Wexler
Larenz Tate Quincy Jones
Patrick Bauchau Dr. Hacker
Mike Pniewski Bus Driver

(参考)IMDb,Allcinema Online
posted by M at 05:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画
Sun,21 August 2005

Bombon (El Perro)

大家さん、そして友人とそのパートナー氏、それぞれに勧められて見に行ってきました。
2004年のアルゼンチン(IMDbではアルゼンチン/スペイン)映画。

主人公はファンという50過ぎの朴訥とした男性。30年近く働いていたガソリンスタンドを首になり、就職活動も上手くいかず、居候している娘の家でも疎まれる日々。そんなある日、車が故障して困っていた若い女性を見つけ、自宅まで車を牽引しつつ送り届けて、車の修理も行う。そこそこ資産家らしい家の母親がお礼にとファンにくれたのは、最近先立った夫が残した犬。夫がフランス語で「Bombonの犬小屋(Le Chein de Bombon)」と書いていたのを犬の名前と勘違いして「Le Chein」と呼ぶファン。最初はお互いぎこちなかったが、やがて打ち解けあう。犬は置けないと娘の家は追い出されてしまうが、犬が幸運を引き寄せるかのように、銀行家に会い、ドッグ・ショーに出るよう進められ、犬の訓練士を紹介され、彼と共に犬を訓練し、やがて出たショーで3位に入賞。その後少々のドタバタを経て、一旦犬を訓練士に預けたファンだが...。

とっても気持ちがホンワカとする映画でした。この主人公のファン役のおじさんと犬のBombonが絶妙なコンビ。ファン役のオジサンは、公募で選ばれた素人で、名前は本名そのまま。チャルメラオジサンと芦屋小雁を足して2で割ったような風貌に、黙って優しい笑みを浮かべる顔を見ているだけで和みます。このオジサンの顔つきに親しみを覚えるのは、我々と祖先を同じにするモンゴロイドだからかな(パタゴニア地方には、モンゴロイドの一部が北米大陸を横断して渡りついたらしい)。Bombonとの出会い、次々と新しい世界に遭遇するたび、くりくりとした目を輝かすファン。悲しい時はその目をそっと節目がちに。でもその感情の起伏は決して大きすぎるわけではない。どこか笠智衆を思い出させるような、淡々とした雰囲気。だけど内に踏めたものはあって、それが最後のシーンで、Bombonと未来へと向かう彼の表情に表れている。
犬のBombon役は、本名はGregorio、名前も顔も厳しいけど、かもし出す雰囲気はどこかのんびりしたものが。ファンに黙って付き従う忠義さがけなげ。
映画全体としては、風の音がうるさいなぁという印象だったのけど、舞台となっているパタゴニアはいつもあのように強風が吹き荒れている地域らしい。それを音と風景で映画全体に表していたわけね。確かにその風景の中にいるような感じがしました。
もう一点映画の中で印象的だったのは、時折垣間見える貧富の差。以前見たチェ・ゲバラの映画(The Motorcycle Diaries)でも見えたけど、南米地方の貧富の差は激しそう。どうしてこういう社会構造なんだろう。

映画は90分ちょっとで、最後は(えっ、もう終わり)といった感じがしないでもなかったけど、終了後は心を和ませて帰ってきました。
政治が絡まない映画を見たのも久しぶりだったし(どういうチョイスだ、お前)。

[参考]
日本公開情報(配給会社Cine Quanonのページ、'Bombon (El Perro)'は下から4つ目)
Carlos Sorin監督インタビュー

[鑑賞メモ]
場所:London, Screen on the Green
日時:2005年8月16日(火)15:40-17:20
映画データ
-Director Carlos Sorin
-Producer Oscar Kramer, Jose Maria Morales, Marcelo Acosta(line producer)
-Screenplay Santiago Calori, Salvador Roselli, Carlos Sorin
-Cinematography Hugo Colace
-Original music Nicolas Sorin
-Cast
Juan Villegas Juan (Coco) Villegas
Walter Donado Walter Donado
Rosa Valsecci Susana
Gregorio Bombon
(参考)International Movie Database
posted by M at 05:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画
Wed,03 August 2005

Walk on Water (LaLehet Al HaMayim)

2004年のイスラエル映画。
B0009YVBGOWalk on Water
Lior Ashkenazi

by G-Tools

モサドのエージェント、イヤル(Eyal)がイスタンブールでハマス幹部の暗殺を終えて帰国した際に見つけたのは、自殺した妻の遺体と遺書。1ヵ月後、イヤルは、アルゼンチンに逃亡した元ナチ将校の所在と生死を確認するため、イスラエルのキブツ*に滞在する孫娘ピア(Pia)を訪ねてきた弟のドイツ人青年アクセル(Axel)に観光ガイドとして接触するよう命令を受ける。アクセルと国内の観光地を廻りつつ、夜はピアの室内に仕掛けた盗聴器で二人の会話を盗聴する日々。二人で過ごしているうちにアクセルに親近感を持ち始めたイヤルだが、アクセルがゲイ(但し半分)であると知り、またパレスチナ人の青年を巻き込んだトラブルで二人は気まずく別れる。しかし録音された姉弟の会話から元ナチ将校が生きているらしいとわかったため、イヤルはベルリンへ飛びアクセルと再会。仲直りしてアクセルの父の誕生パーティに招かれることに成功する。そのパーティでイヤルが、そしてアクセルが出くわしたのは。そして妻の自殺後イヤルの心の底にあった闇の原因は...。

設定が「観光ガイド」だったので、イスラエルの主だった場所(ガリラヤ湖、死海、エルサレム旧市街、夜のテルアビブのクラブなど)が出てきて懐かしかった。また後段は私が大好きな街ベルリンで、こちらもジーゲスゾイレ、アレクサンダー・プラッツ、ポツダマー・プラッツなど主だった場所が出てきて感動。

物語は...うーん、チト甘いかな。ハリウッド映画のような。主役はモサドのエージェントでなくても成立する話になってたと思う。警官でも、兵士でも。
モサドさんたちは、車に乗る時には爆弾が仕掛けられてないか車の周辺や底を丹念にチェックするはずでは、とか、イスラエルのガイドは、観光省公認の印のあるネームプレートを着け、そこには話せる言葉が書かれているはずでは、とか、突っ込みたくなった。

記事タイトルの( )内はヘブライ語をアルファベットで書いていますが、後半のMayimとは「マイムマイム」の「マイム」と同じで「水」の意味です。

*M注:イスラエルで実践されている共同生活。基本的には生産活動を共同で実施し、また内部での全ての活動も共同で行う。個人資産の廃止、また家族生活を廃止し、子供は集団生活をする。世界中から若者がやってきてボランティア活動をしながらキブツ生活を体験している。かつては農業が主だったが、最近はショッピングセンターの経営や、死海沿岸で宿やビーチハウスを経営するキブツもあり、キブツ間で経済格差が生じている。また生活形態も変わってきている。

[鑑賞メモ]
場所:London, Screen on the Green
日時:2005年8月1日15:15-17:15
出演者(最後のタイトルロール順)
Eyal:Lior Ashkenazi
Axel Himmelman:Knut Berger
Pia Himmelman:Caroline Peters
Menachem:Gidon Shemer
Axel's Mother:Carola Regnier
Axel's Father:Hanns Zischler
Alfred Himmelman:Ernest Lenart
Jello:Eyal Rozales
Rafik:Yousef (Joe) Sweid
Rafik's uncle:Imad Jabarin
Shooting Instructor:Sivan Sasson
Iris:Nataly Szylman
Kibbutz Director:Hugo Yarden
Kibbutz Singer:Joshua Simon,Tom Rahav

Director:Eytan Fox
公式サイト
posted by M at 06:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画
Mon,23 May 2005

コヤニスカッティ

昨日200ページの本を読んで、今日は300ページのマイクロフィルムを読んでた。

英国時間では22日だけど、日本時間では23日。一日飛んでしまった。

愛知万博でコヤニスカッティが上映されたとか。見たかった。コヤニスカッティ。
posted by M at 05:30 | Comment(2) | TrackBack(0) | 映画
Thu,19 May 2005

Seres queridos (Only Human)

-They seemed a nice normal family ... then he met them!-

スペイン映画。モンテカルロ映画祭最優秀作品受賞作。ユダヤ人女性が恋人のパレスチナ人男性を紹介するため家族の住むアパートに連れてきた一晩の出来事を描いたコメディ。夫の浮気を疑う母親、ベリーダンスを生業とする長女とその娘、正統派ユダヤ教徒になろうと勉強を始めた長男、強制収容所出身でイスラエル独立戦争を戦った祖父。それぞれがどこかヘンで、そこに迷い込んだパレスチナ男性が最初にやらかす失敗から落着かなく行動し、混乱が増していく。背景にはイスラエルとパレスチナの対立、スペインでの2004年3月11日の列車爆破テロも織り込まれているが、それを除けばどこにでもいそうな「ちょっと変わった」家族の物語。この日はプレミア上映だったため、映画終了後ディレクター夫妻がきてQ&Aの時間があったが、「この映画を観た人々の感想は?」という質問に、「自分の身近な家族の話としてみているようだ。『あれはウチの家族のようだ!』とか『ウチの母そっくり!』といった感想をもらった」と言っていた。冒頭ラフィ(パレスチナ人男性)が失敗をやらかす原因となる大きな凍ったスープは、実際にディレクターの奥さんの母親がそういうものを作って出したことがヒントになったとか。また映画のある部分がビリー・ワイルダーの映画を髣髴させることに気づいた人が質問したところ、夫妻はそろってビリー・ワイルダーのファンだと答えていた。
鑑賞中隣のユダヤ人と思しき夫婦の奥さんが、長男のユダヤ教の儀式などの振る舞いが間違っているとブツブツ文句をいい通しで少々閉口。彼女はディレクター夫妻に指摘していたが、「始めたばかりの初心者でまちがっているところもあることを理解して欲しい」と答えていた。女性はこれにも納得がいかずぶつぶつ。気持ちはわからないでもない。私も外国映画で日本の所作が間違って描かれると私も文句を言いたくなるから。でも映画鑑賞中は静かにしてて欲しかったな。
公式サイト
英語
鑑賞メモ
posted by M at 21:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画
Wed,18 May 2005

ヒトラー 最後の12日間 (Der Untergang, Downfall)

−世界震撼。全てを目撃した秘書が今明かす衝撃の真実。−
−彼の敵は世界−(日本語版コピー)
−April 1945, a nation awaits its ... −(Tagline in English)

日本語版タイトルが表しているように、ヒトラーの最後の日々を描いた映画。ドキュメンタリーを観ているようだったけど、ドイツでは、ヒトラーという人物について描くには余分な解釈や感情を加えないようこうするしかないのだろう。でも勿論映画として秀逸。ブルーノ・ガンツふんするヒトラーが出てきたときには本当に息を呑んだ。外観だけでない、彼が作り上げたヒトラー像のなんともいえない雰囲気が画面から伝わってきた。私だけでなく、その瞬間、張り詰めたような、嫌悪感を持ったような、不思議な空気が映画館に流れた。声にならないような声が、息を呑むような雰囲気があちこちで起こったのがわかった。そこにいるのはヒトラーだった。彼がブルーノ・ガンツであることなど全く忘れてしまった。また彼が12日間に様変わりしていく様子が怖いほどきちんと表されていた。最初黒かった髪が、最後には真っ白になっていたのだ。
人物一人一人について丁寧に描いてあり、ヒトラー自身、側近、他周囲の人々が、当時どう考え、動いたかがよくわかる。そして総統官邸の地下壕と、ベルリンの街の対比。無残に攻撃にさらされる市民、その中で大人と子供が取る行動の差。そして地下壕での、戦闘と身の保身を巡る様々なやり取り。同じ街にあり、爆撃におびえながら、全く違う世界であるように感じられた。この映画は、勿論ヒトラーが中心人物であり主役なのだけど、真の主役は、この12日間のベルリンとそこにいた人々そのものであると思う。
・公式サイト
日本語
英語
ドイツ語
鑑賞メモ
posted by M at 18:16 | Comment(0) | TrackBack(3) | 映画
Tue,17 May 2005

モーターサイクル・ダイアリーズ (The Mortorcycle Diaries, Diarios de motocicleta)

−遠い空の下、僕は世界がめざめる音を聞いた (日本版コピー)−
−Let the world change you... and you can change the world (Tagline in English)-

伝説の革命闘士、チェ・ゲバラが学生時代南米大陸を旅行した実話に基づく物語。ゲバラを知らなくても、一人の若者の青春ロードムービーとしても充分楽しめるし、ゲバラを知っていると、彼が旅先で遭遇した出来事、人々、体験が後の彼に与えた影響について思い巡らせることができる。若い時(ゲバラ)と同じ位の年代、大学生の頃にこの映画に出会ってたら、ものすごく影響を受けてただろうと思う(革命の闘士にはならなかったろうけど)。自分の中でbest1の映画になっていたかもしれない。勿論今の年齢でも充分いいものを映画からもらった気がしている。今年観たbest1はDownfall(邦題「ヒトラー最後の12日間」)になると思っていたけど、こちらになりそう。
 最初は旅先の苦労ばかりが描かれて、(何でこんな辛い思いして旅してるんだこの二人?)と思って観ていたけど、徐々に二人が経験する出来事が南米の社会背景を二人に思い知らせるようなものとなっていく。
 旅での出来事、特に隔離医療施設のコロニーに行くことは、生化学者(アルベルト)と医者の卵(エルネスト)だから導かれたものだったけど、エルネスト→チェ・ゲバラの運命だったのかもしれない。実際このことは彼に「天命(Calling)」を示したものとなったのだから。川を挟んでスタッフ(北)と病人(南)が別々に暮らす施設で、隔たりなく動き回る二人、特にエルネストの姿は、のちのチェ・ゲバラに通じる姿なのだろう。誕生日に病人と祝いたいと彼らの側へ行くエルネストは、弱者の側に立った革命家チェ・ゲバラなのだろう。でもここで、弱者の側に行くだけでなく、両者を交わえるようにしていたら(交わるシーンもその前にあったが)、彼の革命の仕方も違っていたのかもしれないのでは、とも思うがどうだろう。
 私だったら、この映画のコピーにはエルネストの終わり近くの台詞(「僕はもう以前の僕じゃない」)を引用するだろう。
 内容は重かったけど、鑑賞後はとても爽やかな気分だった。2時間以上あるとは思えない、あっという間に彼らの旅行が終わってしまったようで、もう少し観たいと思ったほど。
 南米へは足を踏み入れたことがないけれど、この映画でその風景も四季も堪能できた。何より音楽がよかった。素朴なギターの演奏によるテーマと、ラテン系ダンス音楽(笑)がふんだんに取り入れられて、辛い中でもユーモアたっぷりに旅をしていく二人の旅路が表現されている。ロード・ムービーって、「イージー・ライダー」しかり、「バグダッド・カフェ」しかり、どれも音楽がいいよなぁ。
 ストーリーが終わってエンディングの音楽が始まっても「ボーナス」が。これもよかった。
 チェ・ゲバラのことをもっと知りたくなった。松岡正剛氏が「こんな男はもういない」と書かれた男とはどんな男だったんだろう。
参考サイト
・公式サイト
英語、スペイン語
日本語
松岡正剛の千夜千冊第202夜『ゲバラ日記』エルネスト・チェ・ゲバラ
鑑賞メモ
posted by M at 23:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。